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勝敗論

日経ビジネスオンラインで押井守のコラムがスタートしていました。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120614/233355/?rt=nocnt
押井守の勝敗論を名作の紹介をしつつ展開する、という流れのようです。この監督の作品は高校時代に猛烈にはまり、卒業論文にまでしたくらいなんですが(しかも優秀作品に選ばれた)、当時はよくわからなかったことも社会人になった今だと「そういうことか」と思えることが結構あり、あらためて面白いなと感じます。高校生のときは制作時のしがらみとか、監督が戦うべき相手とかそういう話は理解できなかったはずなのに、そういうところがこの監督のユニークな部分だとなんとなく感じていたと思うと、自分のセンスというか感受性の根っこの部分は当時からあまり変わっていないんですね。


映画監督においての勝利とは何か?黒字にすることではない。ハリウッドで成功することでもない。押井守にいわせると、映画を撮り続けられることらしい。ゴダールの映画で黒字になったのはデビュー作の「勝手にしやがれ」だけらしいですが、それでもゴダールは映画を撮り続けることができた。それはなぜか?(コラムでは答えは明示されていない)


周囲に「あいつは勝った」と思わせること、「負けていない」と思わせることが大事なのではないかと感じました。自分が「負けてない」と思うことは第一歩だけど、自分しかそう思っていないのではやっぱり仕事はなくなるわけです。周りの人が「あいつは負けてない」と評価してくれて初めて負けてないことになる。ここでいう勝負は相対評価みたいなもんだから、印象とかそういう面がとても大切になってくるんだろうな。


 もしかすると押井守の話は、勤め人の発想であって起業したい人や独立する人には関係ねえよと感じる人もいるのかもしれない。でも独立していようがいまいが、仕事は誰かから頂くものではないかと。クールで世の中を変えるバリューのあるソーシャルなんとか(自称)をつくったところで、誰かが評価して使ってくれたり、金を出してくれないと自分の金が流れ出ていく一方なわけで。その評価してくれたり、使ってくれたりする(であろう)人に対して、いかに説得できるか、説得するための言葉を用意できているかっていうことが大事なんではないのかと。「使えばわかる」は幻想であり甘え。私の思うようには他人は動かない。


仕事における勝敗を考える上では、人生における勝敗の基準が確立されている方が有利かもしれない。判断する軸がぶれないから。で、それは何によって決まるのかは完全に自分しだいで、そこが学生までとは違うところ。金か、時間か、他の何かか。いろいろ候補はあるけど、他人がそうだからって自分もそうだとは限らないし、何より誰も「お前が人生で一番大事にしているのはこれだろ」と言ってはくれない。しょせんは他人事ですから。どうでもいい。


SFCのどこかの授業で言われたのが、「自分の死亡記事(お悔やみ欄)が書かれるとして、どういう風に載りたいか考えろ」というもの。死んだ後人生を振り返って、どう書かれたいか。それは他人からどう見られたいか、ということと同じだと思う。自分はとにかく金を稼いで、外車なり家なり買いまくって、女を侍らしてバブリーな生き方をするんや!と今思っていたとして、死んだときそういう風に紹介されたいか?「●●は金に目がなく、欲望に手足が生えたような人間でした」と書かれたいか?かなり悪い表現になっているけど。。。


40歳とかになって、自分の生き方に疑問を抱くような人生だけは嫌なので、一応今から考えておきたい。少なくとも、準硬式で関わっているOBの人たちは、後悔のない人生を生きているように思うし、死んでから振り返っても悪く言われるような人生ではないように思う。どうせ生きるならそういう人生の方がいい。死人を悪く言うなというけど、往々にして死んだ人間の悪口って出てくるものだから。

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