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マルホランド・ドライブを観ました(DVDで)

デビッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』観ました。押井守が言っていたとおり、半端ない変態映画でした。変態的な趣味が出てる映画というわけではないんですが。まあ言ってしまえば夢オチの映画ってことなんですが、この映画はそれ以上の面白さがありますね。どれだけ妄想を炸裂させてるかっていうレベルが違う。しかも、一応すべてのつじつまが合うようになっているという。

ドワンゴの川上さんは映画はストーリーにしか興味がないといって、押井守に映画の見方はそうじゃないと言われたようですが、たしかにこの映画もストーリーだけ取り出せば夢オチという一語で終わってしまいます。それでもこの映画が激賞されて、デビッド・リンチの代表作とまで言われるようになったのは、ストーリー以外に見るべき点があるからでしょう。それが演出だったり、役者の演技だったりするんでしょうが。

この映画を観て思ったのは、自分はここまで変態ではないということです。自分にも趣味とか人より凝っていること、詳しいことはあるけど、それを総動員して炸裂させても、こういう風にはならないなと。もう圧倒的に世の中の見え方が違う。デビッド・リンチと自分を比べるのがおかしいですが、自分も間接的にものとか表現を世の中に出す仕事をしている立場として、表現者の最先端にいる人に興味はあります。で、やっぱりとんでもない差があるなあと感じて一安心します。もう頭とか感覚器官の構造が違うんでしょうね。彼らは凡人が青だと感じる世界を赤と感じているのかもしれない。

為末大さんがツイッターで最近つぶやいている「勝利」とか「努力」とかのトピックに近いものを感じます。一流アスリートは努力が大事というけど、そのレベルに行くまでの選手には全員とんでもない才能がある。だからそこからは努力の差になるけど、たとえば中学とか高校までは圧倒的に才能で勝つんだと。一流アスリートと同じくらい努力して、才能が足りずに負ける奴はその何倍もいるんだと。世の中はそういうもので、社会は厳しいものだから、そこに気づいて自分がどこで勝負するか決めないと、という。これは押井守の勝敗論にものすごく近いけど、やっぱりむき出しの勝負の世界でやっている人は同じ感覚を持つのだろうか。もちろん全員がそうではないけど。

世の中は厳しいんだ、ということは、コードギアスの監督をやっていた人も言ってたな。「社会はお前の敵なんだ」というね。今の子供たちは社会が敵だと知るのが遅すぎると。大学まで温室で育ててきて、いきなり社会に出て層ではないことに気づいて戸惑うと。そこまでは子供たちに「好きなことをしろ」とか言ってるのに、いざ社会に出るとその理屈が通用しないことに戸惑う。大人もわかっているはずなのに嘘を言い続ける。「努力すれば報われる。報われないのは努力が足りないせいだ」という為末さんのつぶやきも根っこは同じだろう。

なんでそういうことになるんだろうか。世の中のほとんどは凡人だし、それで何の不都合もない。天才になりたい人はいるだろうが、いつかは気づくときが来る。気づけない・認めたくないと、マルホランド・ドライブみたいなことになる。受け入れてからがリスタートだ、ということをちゃんとわかっていないとな。

 スラムダンクに「負けたことがあるというのがいつか、大きな財産になる」っていうせりふがあるけど、その前に「はいあがろう」っていうのがあるんだよね。負けて、そこからはいあがれればもっと高みにいける。でも負けたことを認められないとそうはなれないって、、そんなごちゃごちゃいわなくてもわかるいいせりふだ…

何になら負けてもいいか、てことを考えるのも人生だ。資源は有限だ。すべて勝ち取りたい、というのはきっと破綻する。人間は死ぬまで若いわけじゃない。老いたら老いたなりのやり方が必要になってくるんだから。ジジイババアになっても若い頃と同じやり方じゃ、老人ホームで嫌われるやつになるよ。

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