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森見登美彦と堀辰雄

比較ができるほど読み込んでいるわけでもないので単なる感想です。

森見登美彦は今回『有頂天家族』を読みました。以前『夜は短し歩けよ乙女』を読んで以来となります。結局有頂天も途中すっとばしながら読むということになりました。この作家は合わない、ということになるのでしょうが、もう少し理由を考えてみたいです。

森見登美彦の小説にはドラマがないように思います。この人は文章そのものと奇抜な登場人物がメインで、その登場人物が織りなす心理の変化とか、人間関係とか、そういうのはあまり得意ではないように思います。なまじ文章が特異だからそう思うのかもしれません。ただ興味がないだけかもしれない。しかし、文章だけを読ませたいならもういっそのこと詩でも書いたらいいのに、と思ってしまいます。有頂天でも狸とか天狗とかいろいろ出てくるけど、そういう化け物が考えること、直面することで、読者である我々におっと思わせることがあまりない。ただわちゃわちゃやっているだけという印象なんですよね。自分が書いてて楽しいのかもしれないけど。

これの後に堀辰雄『風立ちぬ』を読みました。映画はこれに、零戦の設計者の話をくっつけたというのは知っていましたが、まあだいたいの筋は同じなんじゃないでしょうか。主人公の男はもう少し女性を気遣っていましたが。

これなんかは文章は簡潔だし、個人的には好きな部類です。ストーリーは単純の極みっちゃ極みですが、主人公の男が病気で死ぬ運命にある女性をどう思っているのか、それを自分で追いかけていって、だんだん深まっていく、という流れになっています。なぜ俺はこの女をいとしく思うのだろう?という。説明調っぽい部分があるじゃねえかといえばそうなんですが、このくらいの時代の小説が、「人生とは」みたいなテーマを背負って立とうとしているあらわれといっていいんじゃないですかね。

自分の好みとしては堀辰雄ですが、なぜそうかと言えば、堀辰雄の方が今の自分に元気をくれるから、ということになります。なぜ?なぜ?と繰り返していって深みにたどり着こうとする行為を、小説を読むことで追体験できる。自分の人生だけでそれをやろうとすると気づいた時には遅すぎる、ということになりそうですが、小説を読むことで(畳の上の水練でも)予習になるというのは心が軽くなるというものです。

まあ森見登美彦だって、単純に狸とかのおもしろおかしい話を読んで楽しい気分になるから心が軽くなるじゃないかと言えばそうなんですが、それって結局インスタントな気晴らしなんじゃないかと思ってしまうのです。だったら、どうせ読むなら小説の上でも深みに迫ったものを読んだ方がいいと思うのです。

別に今の小説が嫌いな訳ではないですけどね。ただ、最近はどれもどんでん返し狙いのものが多くて、漫画とあまり変わらないように感じます。しかも最近は漫画のほうがニッチな部分に切り込んだものとか多くて、小説は苦しいですね。池井戸潤みたいな経済小説くらいしか生き残れないかな?

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