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【読書】高橋安幸『根本陸夫伝』

いつかのスポルティーバweb記事の書籍化だと思うが、全体的に根本礼賛記事だらけなので後半にいくにしたがってじゃっかん食傷気味になる。ルールや組織の窮屈さの中で知恵を絞って状況を打開する、そのためにキャップをはめずに考え、なんでもやるという人なんだと言うのはよくわかった。自分が獲得に動いた選手に対し、あれこれと面倒を見たり、そのごの世話を焼いたりなどいわゆる昔気質のおやじ(まさにやくざのやり方にも見えるが)なんだなとは思う。でも、なんでこの人はこう言う風に育ったのかとか、こういう仕事の流儀を覚えたのかというのはぜんぜんわからない。仕事上関わった人の証言しかないから仕方ないことだが、伝記というならそういうところにももう少し迫って欲しかったなと思う。

もともととんでもないワルだったということで、やくざもんとのかかわりもやはりあっただろうから、仕事の仕方も多分にやくざ流だなと思わされることが多い。獲得した選手の面倒を見るところなんてまさにそう。西武→ダイエーの石毛への仕事のあっせんなんて、刑務所に入る若手に「出てきてからのことは心配すんな」みたいなことをいう親分のそれだなと。当時はそういうあっせんが可能だったからこそのやり方であって、今同じことはまあ無理だろうなとは思いつつ、もし今根本が40歳だったとしたら今流のやり方で何かやるんだろうなとは思う。時代にちゃんと即した人はいつの時代でもなんとかやるんだろう。だからこそなのか、「組織っていうのは窮屈なもので、そこでなんとか結果を出すのがプロ」みたいなことを言う。この仕事哲学は現代でも通じるものだろう。いつからそう思っているのかわからないが、組織の窮屈さと言うのは十分わかっていて、それでも自由にやろうと思っている。

こういうエピソードだらけだからなんか超人かのように思われがちだが、ところどころ欠点というか抜けてるところもあって、とりあえず選手の指導はめちゃくちゃ(科学的手法にはあまり興味がないみたい)だったり、指示があいまいでちゃんと伝わってなかったり(森繁和への「ちゃんと選手を見ておけ」だったり)。森繁和とか石毛なんて今じゃ60歳を超えているけど、やっぱり彼らが若い頃だってちゃんと指示されなきゃわかってないじゃないの!と思った。「なんやこのおっさん、と思った。」みたいなこと言ってる人がたくさんいたことからも、根本の多くを語らないやり方が必ずしも受け入れられたわけじゃない。それでも今慕う人がいるのは、仕事を斡旋してもらっていることが大きいのだろうな。言ってることが正しいとあとでわかったとしても、それだけじゃ正論を言うだけの人になってしまう。

しかし根本陸夫と言う人は、窮屈な思いをしてまで野球界で何を成し遂げたかったのかなと思う。パリーグの発展?野球界のさらなる繁栄?ONの日本シリーズを、ということを常々言っていたらしいが、根本をプロデューサーをとらえたときに、彼が理想としたプロ野球界というのが今ひとつわからなかった。ONの日本シリーズがそれなんだろうか?西武時代はパリーグの新球団を常勝にして巨人に勝つ、だったんだろうが。やはり、昭和の野球人にしてみればONというのはそれだけスターだったのかね。自分より年下だったとしても。

そう考えると、平成のこの世で自分が考えられる最大のド派手なことってなんだろう?と思う。普段そんなこと考えることはないけど、日常に押し込まれて、想像力が小さくなっていないかとちょっと怖くなった。

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